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私は今日ついにキョンと二人きりで出かけることに成功した。 でもデートではない。キョンには用事ということで来て貰うからだ。 キョンのことだ,冗談でもデートなんて言ったら何かと邪魔が入るに違いない。 結構素振りは見せているのに何が足りないのだろう?ムネカ?ムネナノカ? 「おす,佐々木。待ったか?。」 「そんなことはない。今日は君が珍しく時間を守ったからね。 それに呼んだのは僕だ。待つのは当然さ。」 本当は一時間は待ったけど,この大イベントの前には些細なことさ。 「そうか,それは良かった。俺も親友を待たせるのは心苦しいしな。 それで,用事があると言ったがどこに行くんだ?」 「デパートでいろいろと買い物だよ。でもそれだけじゃつまらないだろうし, とりあえず映画を観て喫茶店でお茶でも飲んだ後,買い物に行こうか。」 そしてその帰りに君に気持ちを伝える。完璧な計画だ。 『出産を前提に付き合ってくれないか?』いや,ちょっと焦りすぎかな? さすがにここまで計画通りだと怖いものがあるからね。 一歩引いて・・・『結婚を前提に付き合ってくれないかな?』これだ! で,でももし最初のでもキョンがいいって言ってくれたら・・・ボシテチョウデモモライニイコウカ? 「おい,佐々木何立ち止まってんだ?行くぞ。」 おっと危うく妄想が暴走する所だった。落ち着け,落ち着け 「キョンくん。こんにちは。」 「あ,朝比奈さん。こんなところで奇遇ですね。鶴屋さんと待ち合わせですか?」 「えっと今日は上からの命令をやらなくちゃならないの。最優先で・・・」 私の本能が告げている。この場を抜けなきゃ不味いと・・・ 「内容次第では手伝いますよ。朝比奈さん。」 やっぱり!というかキョーン!!君は何を言ってるんだい?僕とのデートは? 「よく分からないんですけど映画を観て喫茶店でお茶を飲んだ後,デパートで買い物らしいです。」 彼女の行き先は全て私の計画と同じだった。彼女の上司は誰だろう?文句を言いたい,言わせて。 「佐々木,どうせ行き先は同じなんだ。一人ぐらい増えてもいいだろう?」 「ああ,構わないよ。」モウドウデモイイヤ その後,本当に彼女は一緒だった・・・ それよりムカついたのはキョンが彼女の胸をときどき見ていたことだ。 ~未来~ 「佐々木さん,抜け駆けは駄目ですよ?」 おまけ 胸が大きくなるよう世界を改変しようか・・・ん,メールだ。誰からかな? 件名 長門 本文 神にも出来ないことはある。 私が改変したときも駄目だった。 ナキタクナッテキタ
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古泉「で、その佐々木さんとどんなラブロマンスを中学時代繰り広げていたんですか?」 キョン「あいつはそんなんじゃない」 古泉「まぁまぁ、恥ずかしがらずに」 キョン「ハァ……」 ――― ―― ― 佐々木「キョン。キミはどのくらいの周期で自慰行為をするんだい?」 キョン「………は?」 佐々木「僕は今、思春期の性欲について関心があってね。 もしかして自慰行為の意味がわからなかったのかい? いわゆるオナn」 キョン「黙れ」 佐々木「そうかい。 ちなみに僕達の年代の男子で週三回、女子で週一回という調査結果がでているんだよ。 知っていたかい?」 キョン「そんなアホな調査どこがやったんだよ」 佐々木「僕さ」 キョン「………はぁ?」 佐々木「僕が各クラスを回って訊いて来たんだ。 ちなみに二組が一番………」 ――― ―― ― キョン「とまぁこんなわけだ。 お前は好きになるのか?こんな女」 古泉「………申し訳ありません」 キョン「わかればいい」 ---- [[22-183「で、オカズについてなのですが」]]
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そうだね、僕がキョンと初めて出会ったのは*学校の*年生の時のことで、それは今か ら*年*ヶ月前のことだった。もうその頃からキョンはキョンとしてのキョンを確立し ていて、くっくっ。僕はそんなキョンに僕のキョンをキョンだった。くっくっ。塾のイ キ帰りには自転車に二人乗りで、後ろからしがみついていた僕はその気になればいつで もキョンの心臓に刃物を突き立てられたし、首を絞めることも出来た。くっくっ。しか しそうなれば自転車は転倒し、僕はアスファルくっくっ。トに頭を強打し、ピンク色の 脳をぶちまけ、首を折り、車道を走る車に胴体を切断され、はらわたを露出し、消化物 から排泄物へ変化する過程のモノを垂れ流していただろう。それも悪くなかったかも知 れない。悪くない。悪くない。悪。悪魔だ。悪魔が嗤う。悪魔。目が見てる。千の目が 。くっくっ。だからしなかった。くっくっ。だから体がだるい。だるい。やだなあ。僕 は正気だよ。僕が狂っていると思うなら君が狂っているのさ。君は僕で僕は君。ところ で、くっくっ。どう思う?くっくっ。どうもこうもないさ。全ては未来から現在そして 過去へと逆行しているのは電話を掛ければ露骨なことでそうすることで僕は快感を得よ うと思ったからさくっくっ。快感だ。快感。気持ち悪い。苦痛だ。苦痛は要らない。快 感だ。快感だよ。キョン、僕にくれないか。最後のひとつ。快感。気持ちいいの。気持 ちいいのがいいの。頂戴。キョンが。キョンがくれるキョンのキョンで僕はレポートが 間に合わないんだ。明日提出しないといけない。僕は体内に侵入された。体内に侵入さ れたことについてのレポートを四百ミリ原稿用紙に五十ヘクトパスカル書かないと。く っくっくっくっくっくっ。だから快感。快感だ。キョンがくれないと壊れちゃうよ。や だよ。やだ。快感。欲しい。快感。快感快感快感快感快感快感快感快感快感カイカンカ イカンカイカンカイカンカイカンカイカンKAIKANKAIKANKAIKANKA IKANKAIKANKAIKANそれは意だ。全ての。神か。いや悪魔だ。力。得る か。鍵だ。君が。キョン。鍵。鍵は鍵穴に。くっくっ。スパゲッティがあるよ。君の好 物物物物物ではなかったかな?違う?では次は君の番だ。楽しいだろう。だからそうだ 、思い出した。君の鼓動。二人乗り。楽しい。楽しい。楽しい。楽しい。楽しい。楽し い。楽しい。楽しい。楽しい。楽しい。楽しい。楽しい。楽しい。楽しい。楽しい。楽 だ。君とひとつのミンチになって。どちらがどちらの肉だかわからない。くっくっ。君 は中世かい?郵便が届く。二人乗り。くっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっ くっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっく っくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっ くっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっく
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15-341「佐々木IN北高「転校生」-1 15-616「佐々木IN北高「鍵」-2 15-817「 佐々木IN北高「胸の中のピース」-3 15-919「佐々木IN北高「キョンの憂鬱」「遠まわしな告白」「がんばれ古泉君」「SOS団よ永遠に」-4
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ある日、塾の帰り道にて。 いつものように俺は佐々木と帰っている。俺と一緒にいるこの佐々木という女は成績よし器量よしの才色兼備の女だ。 中学校でトップクラスの成績だし、そこらへんを歩くだけで注目を浴びる(とくに男から)ほどの美人なのだ。 …そうなのだが、ちょっと変わっているところもある。なにが変わっているのかというと、男と話すときに男言葉になるのだ。 もちろん俺はその理由が気になるのだが、まだ聞いたことはない。人の言葉づかいに注意できるほど、俺の言葉づかいもなっていないんでな。 一方の俺は普通の男子中学生。成績も顔もそこそこ。とくに秀でているものはない。 なんで佐々木は俺と一緒にいるんだろうか。ちょっと不釣り合いな気もしてきたぞ。 「そんなことないさ。たしかに成績はふつうかもしれないけど、僕は君の顔つきが好きだよ。個人的に。 そもそも、人間が一緒にいるのにつり合いなんてこと関係ないさ。そんな人間を数量化して考えるようなことは、僕は好かないね。 世間の妄言に違いないよ」 そう言ったのは隣で歩いている佐々木。たしかに不釣り合いでもうまくやってる人間関係もある。 「というかむしろ、不釣り合いだからこそ、というのもあるかもね」 漫才のでこぼこコンビみたいな感じか。 「というか佐々木。俺の顔つきけっこう好きだったのか?」 顔が好きだなんて言われたのは初めてだ。思春期の男としては気になるところ。どうなんだ? 「言ったことなかったかな?そうだよ。けっこう君の顔つきは好きなんだ。なんでだろうね。 とくにイケメンというわけではないと思うんだけど・・・。わりと整った顔立ちではあるよね」 ほめられている気はしない答えだな。まあ好きといわれて悪い気はしないが。 「顔立ちがとくに好きというよりは、僕が君に対して好意を抱いてるから顔立ちもよく見えるというべきかな」 佐々木は視線を前に向けたまま言う。 好意・・・か。 「ああ、好意を抱いている。ただし恋愛のではなく人間としての君に。僕が恋愛感情を否定しているのは分かってるだろう?」 もちろん。そんなことはわかっているさ。何度も何度も聞かされたからな。 しかし、佐々木。なんでお前はそんなに頑なに恋愛感情を否定するんだ? 人間が異性に恋する。そんなのは太古の時代から人間がずっとやってきた自然なことじゃないか。 なぜ恋愛から目をそむける必要がある。受け入れればいい。 この事と佐々木が男言葉を使うことはなんらかの関係があるのだろうか。昔、なにか男との間に問題があったとか。 俺に協力できることがあればしたい。 そんなことを考え、口から出そうになったとき、 「で、君は僕に好意を抱いているのかい?」 突然、佐々木がにっこりと俺に笑顔を向けながら聞いてきた。 「こ、好意?俺がお前に?ど、どうだろうな。嫌いではないぞ。・・・どっちかっていうと好きかな?ああ、たぶんそうだ」 急な質問にあわてている俺に 「顔が赤くなっているよ。くつくつ。キョンをからかうのはおもしろいなあ。 おっと。もうバスが来ている。あれに乗って僕は帰るよ。じゃあまた」 佐々木はそう言うと、20メートルほど先に停車しようとしているバスのほうへ向かって走り出した。 目が覚めて今がいつで自分が何者なのかが分かるまでに少し時間がかかった。 今の自分は中学3年生ではなく、高校1年生。 風変わりな少女である佐々木との親交は長く絶え、俺のまわりに今いるのは風変わりどころか超能力者や宇宙人や未来人といった超人たちだ。 「佐々木か・・・」 渇いた声でぼそりとつぶやく。 佐々木・・・か。ずいぶんなつかしいな。佐々木のことなんかここ何カ月も忘れていた・・・が、さっきの夢はじっさいに中3の時にあったことだ。 「で、君は僕に好意を抱いているのかい?」 はあ・・・。俺はいつも佐々木にからかわれていた気がするな。佐々木のほうが一枚上手だ。 ……しかし。ぶつぶつ言ってごまかしたが実際どうだったのか。好きだったのか。 そんなことをしんみり考えていると、 「アンタ、わたしのこと好きなの!?」 とハルヒが俺のあたまに怒鳴りこんできた。やれやれ・・・と思っていると 「キョン君、わたしのこと好きですかぁ?」 「好き?」 「あっはっは。あなたは僕のことが好きですか?まっがーれ↓」 と朝比奈さんも長門も脳内で俺に話しかけてくる(最後のはなかったことにしよう) やれやれ・・・。寝ぼけているな。ここまでくれば俺の妄想力も谷口のエロ妄想とそんなにかわらんかもしれん。 明日のフリーマーケットにそなえて寝ないとな・・・。 そして、奇妙なことに・・・・というべきだろう。 この夢を見た翌日、高校1年最後の日をSOS団で楽しむべく俺はフリーマーケットに行く途中に、佐々木と1年ぶりの再開をした。 end
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佐々木さん、そろそろ本格的に受験シーズンですねの巻 秋も本格的に深まるこの頃、皆様如何お過ごしだろうか。 去年はSOS団の活動でなんやかやと過ぎていったこの季節だが、 夏が好きな個人的嗜好もあり、俺としてはあまりいい記憶がなかったりする。 2年前は、受験が本格化して、ここから春までは、灰色の受験戦争の記憶しかないし。 11月 佐々木「キョン、実は秋というのは、「秋の長雨」や、「女心と秋の空」などという形容詞の通り、 気候が変わりやすかったり、雨が長く続いたりして、意外に体調を崩しやすい季節なのだよ。 夏の疲れがどっと出る場合もあるしね。 これから受験に向けて本格的にまい進するというのに、体調を崩しては大変だ。 とりあえず、手編み……いや、マフラーが大安売りで、2つ買ってきてしまったので、 一つ君に譲るとしよう。冷えないようにするのは健康管理の鉄則だよ」 キョン「おお、すまんな」 クリスマスにも特にイベントもなく勉強づけで。 12月 キョン「せっかくの就業式の日に、なんでお前ん家で二人で夜まで勉強漬けなんだ、佐々木」 佐々木「君の場合、ここで気を抜くと一気に冬休みモードに入りかねないからね。 最初に集中モードにしておいた方がいいのだよ。 甘いものは脳の働きに必須だから、ケーキくらいは用意しておいたよ。 よければ夕食も一緒に食べて行くかい? ターキーを一人では処理しきれなくて困っていたんだ」 キョン「家に帰るまでもたないくらい疲れ果てちまったからな。悪いが食べさせてくれ」 正月ったって、合格祈願に行ったくらいで。 1月 佐々木「菅原道真の飛び梅の話が僕は好きでね。彼は学問の神として……。 どうしたねキョン、僕の和服姿はそれほど似合わないかね?」 キョン「いや、着付けとか大変そうだなと思って」 佐々木「……まあ君から素直な賛辞をもぎとるには、この程度ではダメだということはわかった」 受験はなんかあっというまだったな。 2月 キョン「……ええとカール大帝が戴冠したのは、西暦756年だったっけ?」 佐々木「それは小ピピンのラヴェンナ寄進だよ。ああ、いいからそのまま続けてくれたまえ」 キョン「勘弁してくれ。受験明後日だぜ。俺本当に大丈夫かね。えーと西洋史概説はと」 佐々木「ところでキョン、そのままでいいからちょっと口をあけてくれないかな?」 キョン「? ほえ」 佐々木「前にも言ったけど、甘いものは脳の活動を活発にするからね。これでも食べて頑張るのだね」 キョン「もぐ。お、チョコか。サンキュ。あ、あったあった。カール大帝の戴冠は800年だ」 佐々木「君の一番のウィークポイントは暗記ものだからね。そこさえミスしなければ大丈夫だよ」 などと、今思い返しても涙ぐましいマジメな受験生活を送っていたのだ。 来年になったら、もっと大変な大学受験だ。ああ、やれやれ。 ハルヒ「ま、アンタも受験くらいはマジメにやってたって訳ね」 国木田(ツッコミたい! 猛烈にツッコんで涼宮さんに過去の実態を暴露してやりたい! でもなんかそれをすると世界が崩壊したり古泉くんに殺されそうな気が何故かするので 必死に自制する僕なのであった)
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足元で、さく、さく、と砂が鳴る。 白い砂浜が広がっていた。 「海はいいなあ」 返事がない事を期待して呟いた。いわゆる独り言だ。 もちろん返事は無い。 あったら怖い。 辺りを見回し、息を吐き、それから定番の叫びを海に向かって放ってやった。バカヤローってね。 春の海辺、一人で気を吐く女子高生。どうみたってお察しだ。 だから一人である事を確認する。 さすがに恥ずかしいからね。 『じゃあな親友、また同窓会で会おうぜ!』 頭の中で最後の言葉がリフレイン。その足で電車を乗り継いで、気付いたらここに立っていた。我ながら情動的だと思う。 けれどね、他人に知られなければ僕は理性的で冷静だという評判を守れるだろう。 理性的だという自分を守れるだろう。 だから、一人でここに居る。 「くくっ」 そうでもないかな? あの時は一応取り繕っては見たものの、先日「どうしても相談したいから」ってアポも取らず彼の家に押しかけたことを思い出す。 つまるところ、私はそんな奴なのだ。それは彼が知っている。 私がどんな奴なのかも、私がどうありたいと望んでいるのかも。きっと彼は私の望みを知っている。 理性的な私なんて結局守りきれていないんだ。 だから、一人でここに居る。 春の騒動は全て終わって、改めて、私は自分のちっぽけさを知った。 彼に、……中学卒業と共に振り切ったはずの彼に、幾度も「キミの仲間の輪に入りたい」と囁いた私。虫のいい相談をしようとした私。 情動的にも、彼の自室に押しかけて、「もう一度ここに来たい」と約束を求めようとしてしまった私……。 私はなんて弱いんだろうと改めて知った。 私は、やっぱりちっぽけだ。 けれど、ちっぽけな私を知ったから、だから私と対峙できる。 叶えたい夢も、その為に在りたい姿も、常に理性を以って考え続ける僕でありたい事も、改めて知れたのだから。 声に出したから、誰かに、彼に聞いてもらえたから、だから改めて私は「僕」で在ることができる。 口に出したからこそ引っ込めないでいられる。 ふと、長く息を吐いた。 全く辛くなかったといえば嘘だからね。私は強がりであっても、決して強くなんかないから。 キョンの言葉尻を捕まえては、彼と再会を約束しようとした弱い私。 約束したがった私、約束がなければ会えない私。 全部、全部、それも私だ。 「……私は、何もできないから」 私は平均以下。感情的な、何者にもなれない弱い私。 だから、私は強くありたかった。だから理性的に超越的に、私は「僕」でありたかった。 弱い弱い、何も出来ない、平均以下、そんな言葉で自分を定義して「できない」事を当たり前と認識してきた。 だから、私は勉強、或いは精神的に強くあろうとしてきた。 ちっぽけだと自分を、スペックを、自分を正確に客観的に捉えて伸ばそうとしてきた。 そうして「できる」事を増やそうとしてきた。 だから私は「僕」でいられた。 『あー、そうだ、キミを信頼していると言いたかった』 最後の最後の一線で、私は彼に寄りかからなかった。 あなたが好きだなんて言わなかった。彼に選んでと言わなかった。私は理性的でいられた。私は、僕でいられた。 それが、私の小さな収穫。 僕は何も出来ないと思った。 けれど出来たんだ。感情を理性で抑えて、彼にノイズを与えなかった。私の一年に及ぶ「勉強」の成果なんだ。 中学時代、私は彼に「言えなかった」。 そして今、私は彼に「言わなかった」。 僕は成長の為にこそ今の高校を選んだ。 彼は高校生活を楽しむ為にこそ今の高校に行くことを選び、そして再び選んだ。 中学の卒業式、道を違えたから想いを言えなかった。 あの別れの時、道を違えるから想いを言わなかった。 彼の心に負担をかけたくない、そんな弱い私でいたくない。理由は同じさ。 けれどちょっとした違いなんだ。 出来る事、出来ない事、やりたいこと、やれないこと。 私を一つ一つ確かめていこう。 やりたくても出来ない、なんて弱い自分に一つ一つ決別していこう。 もっともっと素敵な私を覚えていってやろうじゃないか。 逃した魚を彼が追いかけたくなるくらいにね。 中学の卒業式、私は「さよなら」を言えなかった。 あの別れの時、私は「さよなら」を、やっぱり言えなかった。ただ彼に振り向くことすらも出来なかった。 だって私はまだ弱いから? それともとても大切だから? 彼が特別だと言ってくれたから? まだまだ、私は私が解らない。 だから、知りたい。 くく、けどね、人は自分の知りたい事を知りたいようにしか受け取らないという。 だから弱いと思う限り、やっぱり私は弱いだろうね。 なら素敵になろう。強くなろう。 ホントに自由な人というのはきっと強い人だから。 気兼ねなく振舞える人と言うのは、その場において「文句を言わせない」強さがあるからだ。たとえば涼宮さんのようにね。 たとえ誰とぶつかったって、ねじふせられると自分を信じられるからだ。 いつか、この広い海のように心を広く広げてやりたい。 心を自由にしてやりたい。 だから、私は強くなろう。もっと、もっと。 平均以下だ、凡人だなんだと、弱い自分を免罪符にしないで良いように。いつか私は素敵だと言い張れるように。 「ねえ、キョン……」 いつか私は「さよなら」を言えるだろうか。それともそもそも「言いたくない」のだろうか。 言えるようになってから考えよう。言えるくらい強くなってから考えよう。 そうさ、できないのと、できてもしないのでは、天地の違いがあるんだ。 言えないだけなのか、言えるけど言いたくないのか。 いつか強くなって答えを出そう。 私は成長する為に「僕」になった。 だから成長してやるさ。キミが今、波乱万丈なエンターテイメントを楽しむ事を選んだように。 強くなることを選んだから、だから強くなってやろう。 それでこそキミの知る「佐々木」だからね。 「ばっかやろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」 一声、海に叫ぶ。 そうだ、たまには「私」として叫んでみよう。そして私より素敵な「佐々木」であろう。 いつかホントの「私」のままで、キミに「さよなら」を言えるのか、キミに「さよなら」と言いたくないのか、それを確かめる為にもね。 )終わり
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キョン「なんだ佐々木、今日は学食なのか」 佐々木「おや、奇遇だね、キョン。ちょうど席を探していたところなんだ。キミの前に座っても構わないだろうか?」 キョン「ああ、全然いいぞ。ん、なんだ、お前蕎麦食べるのか」 佐々木「キョン、キミは僕が蕎麦を食べることに何か意見があるのかい?」 キョン「いや、関西人なら蕎麦よりうどんだろ。それにうどんのほうが食べた後に食った!って感じがするだろ?」 佐々木「キミの食後の感想については置いておくとして、関西人ならうどん、というのは些か早計過ぎると僕は思うな。 天正12年には大坂で蕎麦屋が開店していたことから分かるように、江戸時代には蕎麦が西日本にも充分広まっていたのだよ。 それにここ、兵庫県には信州上田藩藩主仙石政明が出石藩に国替えになって、多数の蕎麦職人を引き連れてきたという歴史背景もある。 それでもキミは僕がうどんではなく蕎麦を食べることを無粋だと言うのかね?」 キョン「う、分かったよ。なんでもいいから食っちまおう。伸びちまうぞ」 佐々木「しかし、キミの言うように僕もうどんを食べた後のほうが充足感があるという考えには賛同するところでもあるんだ。 どうだい?良かったら少しキミのうどんと僕の蕎麦を交換しようじゃないか」
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693 名前:この名無しがすごい![sage] 投稿日:2008/12/15(月) 07 43 56 ID pB3d72fB 佐々木「おはようみんな。冬場は朝、布団から出るのが辛いね」 695 名前:この名無しがすごい![sage] 投稿日:2008/12/15(月) 08 42 44 ID ObzYr1/g 「そうなのか?」 「? 恐らく過半数以上の人にとってそうだと思うのだが。キョン、君は例外ということになるのかもしれないね」 「まあ、年中自動的に起こされるからな…あいつのアタックで」 「妹さんか。ある意味で羨ましいね。 そのお陰で遅刻を気にしながら布団の中で葛藤することもなければ、消え行く夢の残滓をいつまでも見ていたいという儚い思いに振り回されることもないのだから」 「確かにそういうことはないな。夢の終わりは大概唐突だ」 「くっくっ……ああ失敬、光景をつい想像してしまったよ。実に楽しそうだ」 「なんなら無期限かつ無料で貸し出しても構わんのだが。それか……」 「大変魅力的な提案だが、遠慮しておくよ」 「……そうか」 「僕の身体は君のそれほどには頑丈に出来ていないからね。 残念だが、僕も体力的には人並み以下の女性なのだ」 「……そうだな。何処から見ても年相応の女子なのは間違いない。 それも、うちの副団長に言わせれば10人中8人は振り向くほどの美人だ」 「……」 「どうした、黙りこくって」 「……いや、そんなことを本人の前で抜け抜けと言う君の精神構造について、ちょっと考えてしまっていたのだ」 「ほう」 「ああいや、気を悪くしてしまったのなら許してくれたまえよ。貶しているつもりはないのだ。 ただ世間一般の常識と照らし合わせて──!? ど、どうしたんだいきなり。両手で人の顔を挟んで振り向かせるなんて、これではまるで──」 「そういうことは、俺の顔を見てから考えろ」 「……」 「なあ、お前の見たところ、俺はどうだ? 自分じゃ、だいぶ重症の、しかも急性の精神病に思えるんだが。是非お前の看立てが知りたいところだ」 「……そんなに顔を近づけるものではないよ、キョン。もう、僕まで伝染してしまった……」 「……ってな感じの夢を見ながらまどろんでいると思うの。どう?」 「──妄想──乙──」
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『モデル付き恋愛小説』 「恋愛小説?」 「そう、恋愛小説」 受け持った連載を締め切りギリギリであげてなんとかひと段落着いたある日。 正直言って今日は休日のつもりでいたのだが俺の担当編集である佐々木から連絡があった。 なんでも打ち合わせをしたいから家にいてくれということらしい。 他の作家のことなんて良く知らないが俺と佐々木の打ち合わせ場所は大抵俺の家だ。 会社での仕事を片付けた佐々木は昼ごろ俺の家に来る。 打ち合わせは大抵佐々木の作った昼飯を食いながらだ。 今日も俺は佐々木の焼きそばを食べながら次の仕事について話していた。 そんな折飛びだしたのが冒頭の会話というわけだ。 「なんでまたそんなもんの依頼が俺に来るんだ?」 今まで恋愛小説を書いた経験なんぞ高校時代のアレのみだ。 今まで数種類は本を書いているが恋愛を主題とするどころか作中キャラクターが恋愛関係になることすらほとんど無い。 強いて言うなら「夫婦」と設定があったり最初から「恋人」だったりするくらいだ。 作家には得手不得手がある。 トリックの考え方を知らない純文学の作家にいきなりミステリを書けというのは大分無理がある。 今回の佐々木の依頼も大分それに近いものだった。 出版者的に考えてなんで俺に書かせるか? 「実はだね、今度家で恋愛小説のレーベルを作ろうっていう企画が持ち上がっているんだ」 「ああ、その話しなら聞いたことがあるな」 佐々木のとこの出版社はどちらかというとSFとかミステリに傾いた本を出す。 恋愛を主題にした本ってのは余り出していないはずだ。 「で、新しいレーベルを作るとなると大切なのは1にも2にも知名度なのさ」 「ま、そりゃそうだな」 「そこでだね、家の人気作家数人で恋愛アンソロジーを一冊出して宣伝にしようって企画なんだ」 「……因みに今俺以外にはどんな人に依頼してるんだ」 「え?ええっとだね、山崎先生に木村先生、ほら、ホラーの。後はミステリから室山先生に井上先生辺りかな」 なるほど、全員知っているわけではないが見事に恋愛とは縁遠い本を書く先生ばかりだ。 っていうかそれじゃ承諾してもらえる人少ないんじゃないか? 「候補は他にもたくさんいるさ、でもやっぱり話題性が欲しいからね。できるだけ普段書きそうに無い人にかいてもらいたいわけだよ」 やれやれ、いったい誰がそんな企画ぶちあげたんだ。 「僕」 ………… 「キョン、今回のは僕が入社してから最初の僕発案の企画なんだ。無理にとは言わないけど是非協力してもらいたい」 はぁ、やれやれ。 そんなこと言われたら承諾しないわけには行かない。 佐々木に強制する気は微塵も無いのだろうがこの展開では俺の心が俺に強制する。 とはいえそれと書ける書けないは別だ。 「お前にそこまで言われちゃ承諾しないわけには行かないが……俺は余りそういう経験が無いから今まで見たいに まったく何にも無いところから書くってのはできないぜ?」 まぁ遠まわしにお前も一緒に内容を考えろといったつもりだった。 うお、佐々木が信じられない物を見るような目でこっちを見ている。 なんだなんだ、俺なんか変なこと言ったのか? 「キョン、君って奴は……まぁ君はそういう奴さ。……もちろん不得手な事をさせるんだ、協力は惜しまないよ」 あ、納得した顔になった。 なんなんだ一体。 まぁそれはともかく、だ。 はっきりいって恋焦がれる女性を無から作るなんて俺には錬金術並みに不可能な話しだ。 昔ならそこで頭を抱えていたところだが少なくとも今の俺には1年の経験がある。 俺に女心はわからないが幸い女の友人はそれなりの数いる。 故にまず適当な人物を想像し、その人の行動基準や性格を思い出す。 あとはそれを「実は恋愛感情ゆえ」と捏造すれば、まぁ一応は恋焦がれる女性になるはずだ。 経験不足故に的外れなことを書くかもしれないがそこは佐々木にチェックを入れさせれば充分だろう。 佐々木も恋愛経験豊富とは言いがたいがな。 さて、問題は誰をモデルにするかだ。 ……あ、そうだ。 「なぁ佐々木」 「ん、どうした、考えがまとまったかい?」 俺が考え込んでいたのに気づいた佐々木はいつの間にかお茶を淹れて飲んでいた。 湯飲みはこいつ専用のやつだ。 この家は佐々木が担当になってからどんどんこいつの私物が増えて行っている。 実は仕事で修羅場を迎えた後の佐々木専用の布団まであったりするのだ。 ……やっぱここにサボりに来てるんじゃないのかこいつ。 まぁそれは今はおいておこう。 「ヒロインのほうだがな、恋愛を精神病と切り捨てる理屈好きな女の子でいいか?」 「なっ!?」 「協力は惜しまないんだよな?」 くっくっ、と佐々木笑いをしてみたくなるほど今の佐々木はうろたえていた。 俺に柄じゃない恋愛描写なん書かせるんだ、それくらいのリスクは負ってもらわないとな。 それにチェックするのは佐々木だし、佐々木をモデルにしたほうがこいつもチェックしやすいだろう。 何より観察対象が目の前にいてほとんど毎日家に来ているってのはやりやすいからな。 「……ああ、いいとも!協力するともさ!僕が無理言ってるんだし、好きにするといい!」 よし、多少逆ギレ気味だがOKを貰った。 今の反応も俺脳内フォルダにいれて展開の参考にさせてもらおう。 「ただしだ」 佐々木が言葉を続けた。 なんだ、なんかあるのか? 「僕がこんな恥ずかしい思いをするんだ、男性役のモデルはきみにしたまえ」 ああ、最初からそのつもりだが。 「え?」 俺が見れるのは俺に対する反応だけだからな。 身近から持ってくるなら俺にするしかあるまい。 まぁ、俺では到底出来ないようなカッコイイ真似をしたりするかもしれんがね。 「え、あ……うん。そ、そうだね、それが一番良い」 よし、締め切りは…この日か。じゃあとりあえず最優先だな。 佐々木、完成したら女のほうの行動に矛盾が無いかチェックしてくれよ。 「うん、もちろんだとも。楽しみにしてるよ……あ、そうそうキョン。最後はハッピーエンドにしてくれ。そういう決まりなんだ」 その日の打ち合わせはそれで終わった。 後は仕事に関係ない四方山話をして一日を過ごす。 佐々木が帰った後プロット作成に取り掛かる。 初めて……ではないか、だがまぁきちんと作家としての技術を身につけてからという意味では始めての恋愛小説だ。 どうなるかと不安に思ったものだが意外とうまく進んだ。 まず、俺と佐々木の思い出から適当に使えそうなものをいくつかピックアップする。 さらに佐々木が俺に対して日常的に行っている行動を恋愛感情の発露と捏造して所々にちりばめる。 山場に昔佐々木をちょっとだけ怒らせてしまった時のことを十倍に膨らませてすえる。 佐々木に謝ったときのことをを告白シーンに変えてハッピーエンドっと。こんなところかな? あとは佐々木理論「恋愛は精神病」を佐々木が捨て去る適当な理由をつけて、大雑把なプロットはこれでOK。 ベタなストーリー展開だが「恋愛は精神病」が持論のヒロインってのは結構斬新なので面白いかもしれない。 後は文書作成だ。 正直言ってほとんど思い出話を書いているようなものなのであっさり進む。 1日かかって文章に起こした、文庫版で100ページくらいか。 あとは余りにも実体験っぽいところを変更する。 意外にも3日ほどで出来てしまった。 ま、あいつのと付き合いももう長いからネタにゃ困らんといったところか。 「で、これが完成版というわけかい?」 その日にやってきた佐々木に内容のチェックを頼む。 作成途中でも見せるつもりだったが「完成してから見たいんだ」という佐々木の希望で今日が最初のチェックということになる。 「まぁな、矛盾やらが無いか確認してくれ」 「よし、それでは……」 なぜだか佐々木から変な気迫を感じる。 俺の書いたものなんか全て読んでいるだろうに何を今更。 分量からすれば30分、チェックをいれても1時間はかからないだろうな。 そんなことを思いながら佐々木が読み終わるまでお茶を飲む。 むろん佐々木が淹れたやつだ。 読んでいる間の佐々木は非常に面白かった。 1ページ目から緊張した面持ちではあったが物語が進むにつれどんどん顔が赤くなっていく。 恐らくラストの告白シーンであろうと思われる場所では耳まで真っ赤になっていた。 「ねぇキョン。僕はこれを読んで君が実は全て気づいているのではないかと疑念を抱いてしまったよ」 何の話だ。 「い、いや、なんでもない。……作品については文句無しだ。これで編集部に持っていこう」 あー待ってくれ。ちょっとなおしたいところを思いついた。 「ん?どこをなおすんだい?」 今の読んでいるうちに見る見る顔が赤くなる描写をいれたい。 「っ!?入れなくていいよ!そんなの!」 冗談だ。 「くっ……まったく、今日は調子が狂いっぱなしだ。今日はこれで失礼するよ」 その後、アンソロジー中のひとつとして発表されたこの作品は異様な人気が出てシリーズ化が決定した。 佐々木はこれの打ち合わせをする時は常に顔が真っ赤である。 おまけ キョン先生へのファンレターより抜粋 <なかなか面白かったわ!ただ一つ難点を言えばヒロインはもっと元気なほうがいいわね!>H・Sさん 企業家 <非常に興味深い内容でユニーク、だたヒロインはもっと寡黙で読書好きにすべき> Y・Nさん 某企業研究者 <すばらしい小説です。次は同性同士の倒錯した物語などいかがかがでしょう?> I・Kさん 某企業役員 <とってもドキドキしちゃいました、でももっとヒロインをどじな感じにしたほうが……> M・Aさん 某企業秘書 以下ヒロインに対する注文多数。 15-845「作家のキョンと編集者佐々木」 15-866「編集者佐々木外伝」 15-895「モデル付き恋愛小説」 16-69「新人の宿命」 17-404「作家のキョンと編集者佐々木~調子のいい日」 17-718「『スイッチの入れ方』」